定置型潜熱蓄熱装置

定置型潜熱蓄熱装置

使用時間に制約があるエネルギーを必要な時に取り出して空調や給湯に利用する、次世代の熱エネルギー利用システムを実現するためのキーとなる技術として、「蓄熱」の技術が注目を浴びています。
弊社では太陽熱・廃熱等を蓄熱して夜間等の暖房に利用できる「定置型潜熱蓄熱装置」を新たに開発いたしました。本装置は2008年6月から開始した、岡山県「平成20年度オンリーワン企業育成支援事業」における研究成果に基づくもので、現在は実証実験に入っております。

潜熱蓄熱装置とは

融解と凝固の過程で、一定の温度で大量の潜熱を吸熱及び放熱する物質は、温度変化を伴わずにこの潜熱を蓄積させ、必要な時に温度変化を伴わずに熱を放出または吸収させて有効に利用することができます。これを潜熱蓄熱材といい、冷暖房、廃熱の利用、太陽熱の蓄熱、安価な深夜電力の利用等に用いられています。
潜熱蓄熱材は、顕熱型蓄熱材に比べて蓄熱密度が高く、相変化温度が一定であるため、熱の取り出し温度が安定的です。主な潜熱蓄熱材として、氷、酢酸ナトリウム三水塩(酢酸Na)、硫酸ナトリウム十水塩、塩化カルシウム六水塩等が知られています。
弊社は酢酸Naの物性(融解潜熱:63kcal/kg、融点温度58℃)に着目し、暖房の熱源として使用できる潜熱蓄熱装置を開発しました。酢酸Naの蓄熱量は単位当たり容積比で水の約6倍もあり、すなわち同能力の水蓄熱槽に比べ6分の1のサイズにコンパクト化することができます。

蓄熱方法の分類 水と酢酸ナトリウム三水和物のエネルギー比較

潜熱蓄熱の原理

「顕熱」とは、通常の固体や液体が相変化なしに蓄えた熱エネルギーのことです。一方「潜熱」とは、水が氷になるような「液体・固体間の相変化」に伴い放出あるいは吸収される熱エネルギーです。潜熱を用いることで、顕熱よりもはるかに大きな熱量を蓄えることができます。蓄熱放熱に伴う相変化中は温度変化を伴わずに熱を放出または吸収させることができるので、必要な時に必要な温度を取り出し、有効に利活用することができます。この潜熱を「蓄熱材」として有効に併用することで、大きな省エネ効果を実現することが可能になりました。

液体・固体間の相変化と蓄熱・放熱

潜熱蓄熱装置のメリット

1.暖房に要するランニングコストを大幅に低減
2.自然エネルギー・未利用エネルギーや深夜電力等さまざまな熱源との組み合わせが可能
3.自然エネルギー・未利用エネルギーの不安定性を補完
4.暖房に最適な熱源温度(58℃前後)を長時間維持
5.容器当たりの蓄熱量が多く、高い省スペース性
6.用途に応じた形状の融通性

想定される熱源とそのメリット

想定される熱源とそのメリット

潜熱蓄熱装置を用いた暖房システム

潜熱蓄熱装置を用いた暖房システム
潜熱蓄熱装置と、弊社がこれまでに開発した熱交換器を組み合わせることで、安定して熱供給が行える省エネルギー型暖房システムが実現します。ソーラーシステム、深夜電力(電気温水器)、廃熱等から得られた熱を潜熱蓄熱槽内に蓄え、必要に応じて取り出すことにより暖房空調を行います。
さらに、弊社の「地下水熱交換器システム」を併用することで、四季を通じての省エネルギー空調システム「潜熱蓄熱・地下水熱利用冷暖房システム」が可能になります。

潜熱蓄熱装置を用いた暖房システムの導入イメージ

潜熱蓄熱装置を用いた暖房システム 潜熱蓄熱装置を用いた暖房システム

潜熱蓄熱装置の経済的パフォーマンス

潜熱蓄熱装置の経済的パフォーマンス

太陽熱温水器と電気温水器の販売台数の推移

主な用途例

導入事例

仕様

仕様